違和感を持ち続ける
違和感について。
野村證券は、昔、顧客にどれだけ損をさせたかを自慢するような会社だったそうです。
著者は、強烈な違和感を覚えます。
この違和感を持ち続けられるかどうか。
長い物には巻かれろ、と会社に染まっていく人の方が多いのでしょう。
清原さんは、
「顧客が儲かって自分も儲かる、そんなビジネスモデルは非現実的なのだろうか」
とずっと思っていて、これがヘッジファンドへ駆り立てた理由だったとのこと。
私が会社員時代に感じた違和感
私が会社勤めで開発をしていた時、こんなことがありました。
1人(女性)が小スケールで試験し、3人(私を含む男性)が大スケールで試験するというチーム分担で、小スケールで良いデータが出ているのに、大スケールで良いデータが出ない状況でした。
「大スケールの3人はもっと頑張れ!」と上司からはっぱをかけられていました。
当然のように、
小スケールの1人はボーナスが良く、大スケールの3人は低い結果が続きました。
小スケールの1人が産休に入ったとき、私が小スケールの担当になりました。
私は、上司からデータを取ることを指示されていましたが、
彼女が出したデータがおかしい可能性をずっと感じていた私は、
どこかに“まやかし”があると思っていました。
だから、指示された仕事以外に実験を重ね、、、それなりに苦労して、
装置の不具合を見出すことができたのです。
それまで1年半に渡って取得されてきたデータは意味がないとプレゼンしました。
おかしなデータだったことを証明したことにより、会社の損害を食い止めたはずですが、
プレゼン終了時には、人の失敗を咎めたような、イケイケムードをぶち壊したような、
そんな雰囲気に包まれました。
全く評価されませんでした。
ボーナスは下がりました。
そうです。
小スケールで良いデータが出ていたのです。
「後は大スケールだけだ!」
とよく言われていました。
上司にとっては、今後の開発をどうするか。
更に上の上司にどう説明するか。
など、まあいろいろあるのでしょう。
言ってしまうと、しなくていい仕事でした。
おかしいことを証明できるかどうかもわからないし、
そこを実行した責任感や立ち止まる必要性を感じ取ったことなど、全く評価されませんでした。
でも、私は自信がつきました。
止まるべき開発案件を止めることができ、これ以上無駄なお金やエネルギーを使わなくてよくなったので、大きな貢献をしたと。
このあたりのことが、守備に関する力と思っていて、投資に必要な能力だと思っています。
なんだかおかしいぞと「違和感を持つ」力
イケイケムードと距離を保つ「流されない」力
本質的に「損失を食い止める」力
最初の違和感を持ち続ける力
これ、大損を回避する力になるんですよね。
最近の話に例えると
最近の小林製薬の紅麹サプリを例に挙げてみます。
何らかの腎臓に悪さをする物質が混じっていたのだと思いますが、仮に生産現場の社員が気づいて、これを阻止したとします。
この社員Aは評価されると思いますか?
社員Aのような仕事の成果は、
大企業では社長の目に留まることはないでしょう。
食い止めたら、損失は見えませんから。
見えないから(評価されないから)多くの人がないがしろにしがちな力が、意外と投資に役立ちます。
それは違和感から始まる。
そんなことを感じたのでした。
※小林製薬を非難しているわけではありませんし、食い止められるような状況があったかどうかもわかりません。あくまでも仮の話です。